NSR50/NSRmini/NS50ピストン交換 
NSR50のピストン交換の実践編です。
ただし交換のやり方に付いてはメカニックにより、さまざまな考え方が有りますので一例として参考にして下さい。
参考にしてトラブルが起きても当方では一切責任はおえません。
また僕は仕事の合間に作業しているので作業始めは軍手をして作業していますが(電話が掛ってくるので)
糸などが噛みこむ恐れが有る為、基本的には素手で作業しましょう。
用意するパーツ
ピストン/ピストンリングセット/ピストンピン/サークリップ×2/スモールエンドベアリング/ヘッドガスケット/シリンダーガスケット
※2012年で新品シリンダーはAシリンダーに部品統合されました。
ピストンと合わせるのが基本ですが、AシリンダーにBピストンの組み合わせでも特に問題は有りません。
他の組み合わせでも壊れるようなトラブルにはなりません。


ピストン交換に用意する工具(外装やキャブ、チャンバーを外す為の工具は除く)
8mm/12mmボックスレンチ/プラグレンチ/プライヤー/先の細いラジオペンチ/スクレーパー(カッターでも可)/オイルストーン
トルクレンチ
※高いけど絶対に必要!/いつも使用する2ストオイル少々またはBELLHANMER

まず下準備から
タンクを外す。
エンジン右側下のドレンボルトを緩める(下に冷却水受けを用意)
ラジエターキャップを外し、水を抜く。
キャブレターを外す。
シリンダーからマニホールド、リードバルブブロックを外す(外さないでも出来るけど外した方がやり易いです)
チャンバーを外す。
プラグを外す
水温計のハーネスを外しておく。

以上が終わったら

ラジエター液入口を固定しているボルトを外す(シリンダーを外す時に邪魔)

シリンダー右前方とクランクケース、またシリンダーヘッドとラジエターを繋いでいるウォーターホースを外す。

シリンダーヘッドのナットを緩める
※この時一度にすべてのナットを緩めるのでは無く、対角線上に3度ぐらいに分けて緩めます。
理由は一度に緩めるとヘッドが歪む恐れがある為

以上の作業でヘッド、シリンダーの順に外れる様になります。

クランクケース中に物が落ちない様にのクランクシャフトの周りに布か丈夫なペーパータオルを詰めておきます(下の写真参照)
(万一何か落ちたらクランクケースを分解するハメになります)

そしてピストンを外す作業に入ります。
乗車姿勢から見て右側のピストンサークリップを外します。
先の細いラジオペンチでピストンピン横のサークリップを回しながら外側に外します。
外したサークリップは再使用しないので曲がっても構いません。

サークリップが外れたらピストンピンを横に抜き取ります。
メンテナンスがされて無いエンジンやピストンが変形していると抜けづらい場合が有りますが、その場合は反対側から叩いて出すようにします
(ただしピストンを押さえながらクランクシャフトになるべく負担を掛けないように!)
無事にピストンピンが抜けるとピストンが外せるようになります。
コンロッドの先に付いているベアリングも外します。

1年以上開けてないエンジンの場合は、まずシリンダーガスケット(紙製)がクランクケース側とシリンダー側にこびり付いてます。
これをスクレーパーかカッターで丁寧に取ります。
はっきり言ってこの作業が一番面倒ですね。ピストン交換の作業時間の半分ぐらいの時間が掛かる場合が有ります。
簡単にガスケットが剥がれると凄く得した気分になります(笑)
自分は剥がれ辛いガスケットの場合カッターの歯で作業しますが、慣れないと危ないし、エンジン側のパーツを削ってしまうと厄介なので気をつけて下さい。
しかし
この作業がいい加減だと水が漏ってしまいますので綺麗に取って下さい。


ガスケットを剥がし終わったら、面を均一にする為に軽くオイルストーンで表面をならします

次にピストン組みつけの下準備です。
新品でもまず各パーツにバリが無いかチェックします。指でさわってみて確認するのが一番良いでしょう。
バリが有る場合にはオイルストーンや目の細かいヤスリで軽くバリ取りします
※ただしSPクラスでレギュレーションが厳しいレースの場合はバリ取り禁止です。

次は各パーツに2ストオイルまたはLS BELLHAMMER等の高性能潤滑剤を塗ります
以降の説明では2ストオイルと潤滑剤を合わせて『オイル』と記載します
※潤滑剤は何でも良い訳では無いです!現在当店ではLS BELLHAMMERを奨励しています。

ピストンピンが入る所、サークリップが入る所、ピストンリングが入る所にもオイルを塗布してください。
その他組み上げる前に他の金属パーツすべて、ピストン表面やシリンダー内面等にも塗っておきましょう。





セカンドリング溝(下の溝)にエキスパンダを入れます
※2019の関東ロードミニ SP12レギュレーションではエキスパンダを入れなくても良くなりました。
エキスパンダがリングの溝で動いてピストンを破損する例が増えてきているので、必要なければ入れない方が良いです。



ピストンリングはリング表面にRNと刻印がある方が上向きです。
間違えない様にしてください。最近のは凄く刻印が薄くて見辛い様です。


ピストンリングをセカンドリングから入れます。
指で広げながら入れます。


NSR/NSのピストンリングはセカンドリングに緑のペイントマーキングがして有ります(無いのも有り)
2本のリングは上下どちらの溝にも入りますが、残った1本が間違っていると上側がきつくてちゃんとはまりません。
結果的にトップリングとセカンドリングは間違えたままでは組めないと思います。


そしてピストン片側にサークリップを入れておきます(自分は吸気側から見て左側に入れます)
指で入れる人も居ますが自分は先が曲がったラジオペンチで入れます。
精度のよいラジオペンチならば指で入れるのとクリップへの負担は変わりません。
変形させてまで無理やり指で入れて、結局クリップが外れてしまう方がいますが本末転倒です。
大事なのはクリップを変形させない事です。



上手くやると力も入れずにパチッと溝にはまります。


はまったらラジオペンチでサークリップの開いている部分を滑らすように動かしておきます(外れ防止です)



この時にサークリップを歪めないで下さい。
慣れない内はサークリップの予備を用意しておいた方が良いかも知れません。
また、先に外したピストンで練習しておくのが良いと思います。

コンロッドにオイルを塗ったスモールエンドベアリングを入れておきます。
この時にクランクの大端ベアリング(コンロッド下)とサイドベアリングへの注油穴にもオイルを補充しておきます


そして上からピストンを被せます。
ちなみに
ピストン上面にINと盛り上がった刻印が有る方がキャブ側です。
間違えると間違いなく壊れます!


横からピストンピンを差し込みます


そして今度はピストンピンを入れた側からサークリップをつけます。
サークリップの端を掴んで回すように入れます。
コツは反対側を入れたのと同じです。


はまったら左側と同じ様にサークリップを切り口を滑らすように移動しておきます。

これでピストンが組み終わりました。

次はシリンダーを装着します
シリンダーガスケットをクランクケース側に付けておきます。
※今回の作業では先にケースにつけておきました。
また純正ガスケットにはシールが貼ってあるので剥がします(HRCミニ用には有りません)
剥がさないと圧縮が低くなり、パワーダウンにつながります。
ちなみに粘着面がシリンダー側になります。
またガスケットにグリースかオイルを塗っておきましょう。


そしていよいよシリンダーをはめます!
まずピストンリングは切り口をピストンのリングストッパーが付いている部分に合わせます。


ピストンリングが外に広がらないように指で押さえながらシリンダーをピストンにはめていきます。
この時トップリングまではシリンダーに比較的簡単に入るのですが、セカンドリングがシリンダーに引っかかって入りづらいと思います。
この場合はセカンドリングの位置がずれているか外れています。
もう一度位置を直してやり直してください。
無理して入れるとピストンリングが歪んだり折れたりするので、慎重にやってください。
ちゃんとリングがはまればシリンダーの自重でピストンがスッと中に入って行きます。
くれぐれもパワープレイしないように!
ここも作業の慣れが必要ですね。慣れないと上手くはまらず30分は格闘するかも知れませんね(笑)




めでたくピストンがシリンダーの中に納まりました。


今度はヘッドガスケットを装着します(僕は一応グリースを塗っておきます)
EXUPとペイントしている方が上でチャンバー側です。


そしてシリンダーヘッドを上から被せて


4箇所のヘッドナットを付けます。
ナットはまだ手で締めるぐらい軽く

有る程度固定できたらピストンのセンターを出すために一度クランクシャフトを回します。
キックが付いていればキックで、付いていない場合はギアを2速に入れてタイヤを回します。

何度かクランクを回したらトルクレンチを使って、対角線上交互に極軽く(0.6kg程度)ナットを締めます。
またクランクを回します


次はトルクレンチで1,2kgで対角線上にナットを締めます。
で、またクランクを回します。

次に1,6kgで締めます。
で、またクランクを回します。

最後に2,0kgで締め付けて完了です。
問題が無いようでしたら必要なパーツを取り付けてください

以上、記載してみましたが文章等で抜け等有るかも知れません。
何か気づきましたらメールにてご連絡頂ければ幸いです。


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